抵当権の意味と種類(法学部レポ)

担保とはなにか

担保とは、将来の不測の事態によって不利益を被らないよう、あらかじめ備えておく手段のことである。担保は法律の世界において、債権の実現をより確実とするための仕組みとなっている。

例えば、何らかの事情で債務者が債務を履行できなくなった場合でも、債権者は担保から弁済を受けることができる。民法の世界で人々が安心して契約を結ぶためには「約束は守られなければならない」というルールと、それを保障するためのシステムが必要である。

担保は「もしも約束が守られなかったら」という万が一の危険に備える手段のひとつである

担保は大きく分けて、人的担保と物的担保がある。人的担保が債権であるのに対し、物的担保は物権である。また、やや特殊なものとして瑕疵担保というものがある。どれも、債権者が満足に債権を実現することを目的としている。

人的担保

人的担保とは、債務者が債務不履行に陥ったときに、債務者の代わりに第三者がその債務を弁済する仕組みである。以下に具体例を挙げる。

金貸しのところに、100万円を借りたいという男が現れた。金貸しが男の素性を調べてみると、彼はすでにいくつかの借金を背負っていたことが判明する。儲けのために金を貸したいのはやまやまだが、男が夜逃げや破産をして貸し倒れになる危険があるので怖い。

そこで、男に金を貸す条件として、連帯保証人を用意させるのだ。男が友人を連れてきて、男と金銭消費貸借契約を結ぶのと同時に、男の友人と連帯保証契約を結んでおく。

そうすれば、たとえ男がどこかへ逃げてしまった場合でも、金貸しは連帯保証人である男の友人に、100万円の弁済を請求することができる。また、利息があればもちろん利息も請求できる。

保証人が担保として負う債務には上限がないため、人的担保は無限責任であるといわれる。また、人的担保には保障と連帯保証があり、保証人よりも連帯保証人の方が負担は大きい。

実務上では、圧倒的に連帯保証の方が多い。長くなるので、両者の相違点についての説明は省く。

物的担保

物的担保とは、債務者が債務不履行に陥ったときに、債権者が、代わりに債務者又は第三者の特定の財産から優先的に弁済を受けることのできる仕組みをいう。

物的担保には、法律上当然に成立する法定担保物権と、債権者と債務者又は第三者との契約によって設定される約定担保物権とに分けられる。

法定担保物権には、留置権と先取特権があり、約定担保物権には質権と抵当権がある。以下に具体例を挙げる。

留置権

留置権とは、例えば、時計屋が時計を修理するために、客から時計を預かっていた場合に、もしも客が修理代金を払わないのであれば、それを払ってくれるまでは時計を留置しておける権利のことをいう。

この権利は法律上当然に発生する。

先取特権

先取特権には、例えば会社が倒産したときに、その会社と雇用契約を結んでいたサラリーマンは、他の一般債権者よりも優先して、給料の弁済を受けることのできる権利などがある。

先取特権にはこの他にも様々な種類がありややこしいが、「給料はその債権者にとっては生活するために極めて重要なものであるので、他の債権者よりも優先する必要がある」といったような政策上の考えに基づいてつくられた権利である。

質権

質権とは、例えば質屋さんが着物と引き換えに債務者にお金を貸し、債務者がお金を返しにきたときは着物を返し、もしも弁済をしてくれないようであればその着物を別の誰かに売ってそこから充足を得ることのできる権利である。

抵当権

抵当権とは、債務者又は第三者(物上保証人)の特定の財産(主に不動産)を担保として設定し、その債権者は債務不履行があった場合には、その特定の財産を競売で売却した価額から、他の一般債権者に先立って優先的に弁済を受けることのできる権利をいう。

例えばマイホームを購入するため、住宅ローンでお金を借りるときに設定する。

債権者は、債務者がローンを払えなくなった場合に、債務者のマイホームを競売で売りに出して、そこから弁済を受けられる。ローンを払えなくなる状況というのは、大抵は債務者が借金倒れしている場合であり、住宅ローンの債権者の他にも、クレジットカードやサラ金、消費者金融などのたくさんの債権者が存在するケースが多い。

このときに債務者が破産をすれば、債権者たちは「債権者平等原則」により、債務者の残された財産(マイホームを含む)を競売した価額から平等に弁済を受けることができる。しかし、破産するほどの債務者の財産がそう多くあるはずもなく、債権者たちは十分な弁済を受けられず貸し倒れで泣くしかない。

住宅ローンなどは1000万円単位の特に高額の融資であるため、貸し倒れを考えれば債権者側にリスクが大きすぎる。そこで、不動産に抵当権を設定すれば、他の一般債権者に優先してそこから弁済を受けることができるようにしたのである。

この他に、企業が銀行からお金を借りるときに、その担保として工場敷地に抵当権を設定したり、メーカーと商社が継続的に金銭消費貸借や売買契約を行うときに、その限度額についてを担保するために根抵当権を設定したりと様々な使われ方がある。抵当権は担保のなかでは最も身近に存在し、社会にとってなくてはならないシステムであるといえる。

人的担保が無限責任であるのに対し、物的担保は有限責任であるといわれる。

抵当権を例にあげると、たとえ1000万円の債権を担保していたとしても、抵当権を設定した不動産が500万円でしか売れなかったら、債権者は500万円の優先弁済しか受けることができない。

ここでは省略するが、人的担保、物的担保にはそれぞれ様々な性質があり、難しいところでも面白いところでもある。

瑕疵担保責任

最後に、瑕疵担保責任とは、例えば中古屋で自動車を買ったときに、店主は「整備点検済みなので安心してください」と言っていたが、しばらく乗っていたらエンジン部分に隠れた瑕疵(欠陥)があったことが発覚した場合、たとえ売主がその瑕疵につき善意無過失であっても、売主に対して損害賠償請求ができるというものである。

将来の不測の事態から債権者を保護するという点で、瑕疵担保責任も担保のひとつであるといえる。

(了)

法律
当記事の執筆者
オロロン

ときまき!支援サポーター。Webライター兼Webデザイナー。人生の合言葉は「書いて描いて書きまくる!」

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