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サンタクロースと嘘つきの告白(掌編小説)

   老人は音もなく曲芸師のように、二階のバルコニーへと飛び降りる。  クリスマスの静かな夜。ふんわり積もった雪が、老人のかすかな足音さえも吸い込んでしまう。  赤色のもこもことした衣装を身にまとい、長い白髭を生やし、大きな白い袋を肩から...
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幼女 vs サンタクドウスル(第26回『短編小説の集い』参加作)

 クリスマスの夜。ユキはベッドに潜り込んで、寝たふりをする。  多くの子どもたちがそうしたように、来訪者がやってくるのをそわそわと待っていた。  やがてリン、リン、リン、と愉快な鈴の音が近づいてくる。鈴の音がユキのすぐ頭の上で《リン》と...
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虫の知らせ(短編小説の集い)

プウウウゥゥゥウゥン――。 耳障りな高音。回転椅子をくるりと回して、振り返る。 本棚の中段あたりを黒い塊が飛んでいた。 部屋の主、裕也は不機嫌だ。血走った目でギロリと飛虫を睨みつけると、素早く両側から手のひらで挟み潰した。...
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NPC(ノンプレイヤーキャラクター)の幸福論

私はアイ。 ロールプレイングゲーム王国に住む、14歳のNPC (non player character) 独自AI (Artificial Intelligence 人工知能)を搭載していて、自分の頭で考えて行動することができるの。当た...
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人生の半分(第14回短編小説の集い投稿作)

「あなた、お食事が冷めます」 妻の洋子がたしなめる。洋子はすでに夕食の半分以上を食べ終えていた。 文雄は、箸を持った手を胸のあたりで止めたまま、テレビ画面に見入っている。 車椅子バスケの特集だった。車椅子に乗った青年たちが...
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瞳に泳ぐ、魚はキミの……(第13回短編小説の集い投稿作)

この記事は「第13回 短編小説の集い」の参加作品です。 お題は「魚」 原稿は約4,600文字(字数制限ぎりぎりになってしまった……) 投稿は夏の納涼フェスティバル以来の二回目となります。 ―――― ――...
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フルフル

 不登校してた頃、パソコンやスマホはなかったので、部屋に引きこもってゲームばかりしていた。でもゲームは得意じゃなかった。  PSPって携帯ゲーム機で、はじめて買ったのが「LocoRoco」ってソフト。ロコロコ、かわいい。ミカンをふにゃふにゃ...
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ピンクのゾウが飛んでいるので絶望的だと思った

 ピンクのゾウが飛んでいるので絶望的だと思った。残された時間は少ない。  学校の帰り、友人とサーティーワンに寄ってアイスクリームを食べていた。友人は抹茶が、私はベリーベリーストロベリーがお気に入りだった。 「ねぇ、好きなアイスが、その人にと...
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私撰、刺激的な小説(暑さを恐怖で吹っ飛ばす厳選12冊)

あついねー、あつくて溶けてしまいそうやわ。 生まれ変わったらクラゲになりたい……。 画力が溶けてる!!! きょう紹介するんはアレやね、あれあれ。 本読んだから、えーっと、おすすめのを、えーっ、...
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クラゲとスカート

砂浜にスカートが打ち上げられていた。ウエストは輪を保ったまま、裾がふよりと円を描く。布地は海水を吸って軽やかさを失っている。波が寄せてきて、スカートから飛び出た触手のような二つの紐が微かに揺れた。 それはどう見ても生き物だった...
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